NaeNaro_memo

日記、妄想、更新情報など

No.29

映画『侍タイムスリッパー』

SNSで話題になって上映映画館が増えていって、自分の行ける範囲のところの映画館でも上映されていたので観に行ってきた。
結論、凄く良かった。

幕末の侍が現代にタイムスリップするという、ストーリーとしてはあるあるだけど、主人公は「幕末から来たんです」などは言わず、流れで時代劇の斬られ役に自分の役割を見出し、活躍していく。

笑えるシーンは自然に笑えて、コメディがシンプルに分かりやすく面白い。私が映画館に行った時はおじいちゃんおばあちゃんが多めだったけど、親子で観に来ていた人もいて、老若男女楽しめる作品だと思う。

時代劇の栄枯盛衰、それぞれのキャラクターの物作りに対する姿勢など、観ていると凄く突き刺さるものがあった。
斬られ役はただ斬られて倒れるだけじゃない。主役を引き立てるため、物語を盛り上げるため、斬られ方、所作、表情をしっかり魅せることが使命。一瞬の登場であっても手を抜くことはない。
時代劇に関してはにわかすぎるけど、プロフェッショナルの一面を知れたことがこの映画を観てとても良かったと思う。

風見先生が出てきてからの物語の展開、とても良い。終盤の殺陣の睨み合い、刀の音の迫力凄かったなあ。本物とはこういうことかと感じるシーン。
そしてラストのオチでちゃんと伏線回収されてひと笑い。

※ここからは完全に自分語りです※

映画を見終わった後、数年前に亡くなったおじいちゃんが時代劇を好きだったことを思い出した。急に涙が流れて、映画館のトイレに駆け込んで泣いた。オタクの誇張表現ではなく、本当に泣いた。

おばあちゃん(おじいちゃんから見れば妻です)が病気で倒れてから体を自由に動かせなくなって、長年ずっと介護をしてきたおじいちゃん。定年退職してゆっくり出来ると思っていたら、つきっきりの介護生活。
おじいちゃん自身も加齢で衰えていく中、おばあちゃんのことを好きといっても、ずっと家で2人きり。終わりのない介護をし続けるのは苦しい時もあったと思う。

そんなおじいちゃんの唯一の趣味が、時代劇鑑賞だった。
時代劇専門チャンネルを契約し、ゆっくり出来る時はテレビで時代劇を見ていた。
当時の私には時代劇のことが分からなかったけど、時代劇の世界観に浸れる時間が、おじいちゃんにとっては唯一の心の拠り所だったのかもしれないなと思う。
刀を構えてにらみ合う姿。戦い合う姿。斬られ役が倒れていく姿。
常にお決まりのシーンが流れるけど、いつでも正々堂々とした姿を見られるというこの世界観が、おじいちゃんは大好きだったのかもしれない。

おじいちゃんが亡くなった後、時代劇専門チャンネルを見る人はいなくなったので、私の父が解約手続きをしたのだけれども、それによって担当の方がおじいちゃんが亡くなったことを知り「今の時代、時代劇を見る方は珍しかったので…」という言葉を口にしていたのが、とても印象に残っている。
葬儀場でおじいちゃんの棺桶を見た時、火葬した時よりも、チャンネルの解約手続きを行ったスタッフさんの言葉が、「おじいちゃんはもうこの世にはいないんだ」というのを感じた。

映画の中にもあったように、時代劇は下火になっていく一方だ。新しいものや娯楽が大量に生まれ、消費されていく時代。時代だから仕方ないと言われればそれまでだけど、おじいちゃんのことを思い出した私は、このまま消えていくには、あまりにも悲しすぎると思った。少しでも時代劇にスポットライトが浴びれば良いなと思った。crose


#映画

1463文字, diary

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